高血圧の治療生活をイメージできる記事の後編です。
この記事だけ読んでも問題ありませんが、前編はこちら。↓
どんな生活になるか?
高血圧になると、基本的には”治る”まで治療を続けなければいけない、と言われます。
ただ、前述の通り、薬は根本解決ではなく、あくまで【対症療法】ですので、究極的には治すのは自分です。(例えば、どんなに薬で血圧を下げようとしても、それまでの暴飲暴食で血管が傷ついてそもそもあまり薬が効かなかったり、尿から塩分を出してもそれ以上の塩分を口から摂取していたら意味がない、とお分かり頂けますよね?)
と、先に結論を言ってしまいましたが、僕が考える高血圧での主な治療イメージ(通院とお薬の服薬)は以下の図の通りです。
※作った後で家に帰る「帰宅」を忘れていることに気付きましたが、大目に見てください。。。
点線の左側が「通院当日」、右側が「日常生活」を表しています。
ここで言いたいのは、通院当日はめちゃくちゃ時間取られるよ、という事です。
例えば、熟練の高血圧患者さんにもなると、もはや診察に時間がかからない(食生活の指導をしても直らないし、薬もほぼ変わらないため、薬をもらうためだけに通院する状態)と言われているため、薬をもらうためだけに半日くらい費やさなければいけないのです。
さらに、毎日、だいたい朝晩の食事前、もしくは食後に薬を飲まなければいけません。もしかすると、高血圧の進行度や罹患年数によっては1錠ではなく、2、3錠ということもありえます。血圧測定も行い、紙の手帳やスマホのアプリなどに結果を残さなければいけません。(特定のメーカーの血圧計は、自動集計機能もありますが)
責任ある仕事を任せてもらえるようになって仕事が楽しくなってきた人、プライベートを充実させてのんびりしたい人が、月1回(もしくは3ヶ月に1回くらいということもありますが)のペースで自分の時間を治療に使わなければいけないのは、果たして幸せでしょうか?
しかも、塩分制限などの食事制限もおまけつきです。
高血圧を放置するとどうなる?
上記で、とにかく治療はめんどくさい、という事をお分かり頂けたかと思います。製薬業界ではよく【治療脱落】と表現しますが、その面倒臭さゆえに、途中で通院してこなくなってしまう患者さんもい定数存在します。(何かの理由で他のクリニックに変えてしまっただけかもしれないですが)
しかし、だからと言って、放って置いてよい、と言うつもりは全くありません。
むしろ、この高血圧を放置することこそ、今の日本の医療費を増大させている原因だと考えています。
医科診療医療費を主傷病による傷病分類別にみると、「循環器系の疾患」6兆596億円(構成割
合19.3%)が最も多く、次いで「新生物<腫瘍>」4兆5,256億円(同14.4%)、「筋骨格系及び
結合組織の疾患」2兆5,184億円(同8.0%)、「損傷,中毒及びその他の外因の影響」2兆4,421億
円(同7.8%)、「呼吸器系の疾患」2兆3,032億円(同7.4%)となっている。
厚生労働省 平成30年度 国民医療費の概況
↑https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-iryohi/18/dl/data.pdf
上記からもわかるように日本の医療費で一番かかっているのは循環器系の疾患となっております。
この循環器系の疾患というのは、高血圧を放置することも1つの大きな要因となります。
つまり治療がめんどくさくて放置していたりすると、結局もっと恐ろしい脳卒中であったり、心筋梗塞などが引き起こされて最悪の場合、寝たきり生活などに至ってしまうのです。
今高血圧っぽい自覚があったり、将来高血圧になりそうな食生活をしているなあと心当たりがある方は是非、今のうちから【自分は何歳まで医療と無縁でいたいか】を意識してみてください。
絶対にジャンクなものを食べない、という訳ではなく、まずは1週間のうちの1食から少しヘルシーなものを取り入れてみる、慣れてきたら段々取り入れる回数を増やしていく、などの形で自分の健康をぜひ意識してみてください。
もしどんなものを食べたらいいのかわからない、という場合は簡単に見分ける方法があります。
それは添加物が入っているものを選ばないという方法です。
なぜなら添加物が入っていないものは基本的に素材の味を生かした身体に優しいものが多く、高血圧などの生活習慣病にとっては最適な食べ物が多いと考えるからです。
(逆に言うと、添加物が入っているものは、素材の味や保存性など、何かを添加物に手助けしてもらわないといけないもの、ということです。)
高血圧になったときにかかるお金は?
このセクションが、他の記事ではなかなか見かけない内容かと思うので、この記事の目玉かな、と個人的に考えています。
実際に通院する時にかかる費用を一覧で下に示したいと思います。ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、クリニックにかかった際の負担額は、実は総額の3割しかありません。(残りは健康保険で賄われています。)なので、保険証を忘れると、その場では本来の金額である10割の金額を支払わないといけなくなります。
また、請求される金額は、通うクリニックによっても若干違いがあります。専門的に言うと、「その診療報酬を算定するかは、そのクリニックの判断による」といえます。あくまで下記のリストは、1つの参考にして頂ければ幸いです。(僕も知らない請求金額があったり、検査にいくらかかるのか、という事は、分かり次第追記します。)
余談ですが、医療の1つの大きな問題点は、患者側の立場から、「今日いくらかかるのか」が見えにくいこと、だと思います。
- 再診料73点(=730円※10割)
- 外来管理加算52点(=520円※10割)
- 特定疾患療養管理料225点(=2250円※10割)
- 処方せん料68点(=680円※10割)
- 一般名処方加算1 7点 (=70円※10割) もしくは 一般名処方加算2 5点(=50円※10割)
- 特定疾患処方管理加算1 18点(=180円※10割) もしくは 特定疾患処方管理加算2 66点(=660円※10割)
- 明細書発行体制等加算1点(10円※10割)
- その他(早朝・深夜加算、休日加算等。これは受診する時間帯や曜日による)
再診料+外来管理加算+特定疾患療養管理料+処方せん料+一般名処方加算1+特定疾患処方管理加算1+明細書発行体制等加算
↓
計4,440円(10割負担) =>1,480円(3割負担分)
これは取られる可能性があるもの全部盛りなので、高くてもこのくらいの金額になるかな、という感じで見てください。高血圧だけでなく、糖尿病など、他の疾患も合わせて治療している場合は、もう少し高くなります。
さらに、これだけではありません。定期通院の主な目的は、【薬をもらうこと】です。
つまり、この後、薬局でも同様にお金を支払うことになります。(上のリストと読み方は同じです。)
- 調剤基本料1 42点 or 基本料2 26点 or 基本料3 21点or16点
- 後発医薬品調剤体制加算1 15点 or 〜〜体制加算2 22点 or 〜〜体制加算3 28点
- 調剤料 11点
- 薬剤服用歴管理指導料1 43点 or 〜〜管理指導料2 57点 or 〜〜管理指導料3 43点
- 薬剤料 ※薬による
薬剤料については、例えばこんな薬があります。おそらく、よく使われているであろう薬の値段を調べました。
- アジルバ錠20mg→約140円(小数点以下切り捨て表示)1日1回1錠→30日分で4,200円
- レニベース錠5→約25円(小数点以下切り上げ表示)1日1回1錠→30日分で750円
- アムロジピン錠5mg「サワイ」→約13円(小数点以下切り上げ表示)1日1回1錠→30日分で390円
このお薬の値段(薬剤料)も踏まえ、薬局で支払う金額を計算してみます。調剤基本料は1、後発品加算は3、薬剤服用歴管理指導料は3を取る想定です。薬剤は、アジルバで計算します。(現実の薬局で支払いそうな内容に寄せています。)
調剤基本料1+後発医薬品調剤体制加算3+調剤料+薬剤服用歴管理指導料3+薬剤料(アジルバ)
↓
計5,440円(10割負担) =>約1,814円(3割負担分)
以上から、通院するだけで半日の時間が取られる上に、毎月3,000円、健康状態が悪いともっとお金がかかっていく計算です。高血圧だけでも、よくならなければ薬を2つ、3つと飲むこともあるので、その分お金もかかります。
人気の料理店に、美味しいご飯を食べるために1時間、2時間並ぶならまだわかりますが、痛くもない、どこにも症状が見えないことに時間とお金を使うのは、なかなかしんどいですよね?
まとめ
今回は高血圧を取り上げましたが、「高血圧と診断されるまで」は、おそらく、他の生活習慣病でも同じ科と思います。
また、具体的な金額については、クリニックやいくつ疾患を持っているか、受診する時間帯などによって多少前後します。
自分もかつては全くと言っていいほど”病気”というものの知識がありませんでしたが、このような現実味のある情報が、まだまだ出回っていないからかな、とも思います。
もちろん、医学の専門家ではないので、細かい部分などは少し違うかもしれませんが、とにかく
こういう状態に向かって進んで行っている
という自覚を持って、自分の健康を他人任せにするのではなく、少しでも自分で自分を大事にしてあげるセルフマネジメントの意識を持って頂ければ幸いです。
目指すは、みんなが健康になって医療費が減り、僕の、そしてみんなの手取りが増えること!!
最後までお読み頂き、ありがとうございました!
コメント